ボイスメディアVoicyの「西野亮廣エンタメ研究所」チャンネルの文字起こしメモをしています。ほぼ写経のような感じでやっています。書き損じはご愛嬌で。
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劇場は瀕死状態。だけど…
今日は、新型コロナウイルスで吉本興業がヤバイというテーマでお話ししたいと思います。
やばいっていうのは、プラスの意味でのヤバイっていうすげーっていうことです。
時事ネタを切ることに、まるで僕興味がないんですが、文化の潮目が変わった瞬間を切り取ってお伝えすることには意味があると思っていて、今日はそんな話になります。
吉本興業が、芸能事務所として無双状態に入ったなーっていうのがありまして今日はその話です。
これ多分コロナがかなり追い風になった感があるんですけど、いま吉本芸人みんな YouTube を始めたじゃないですか。
始めざるを得なくなったっていう表現が適切なのかもしれないですが、ま吉本興業の芸人が YouTube をやることに関しては「どうぞどうぞ」なんです。
その代わり YouTube の売り上げは吉本と分けてるんですが、何割で分けてるかに関しては、差し控えさせていただきますが、事務所よりも芸人の取り分が多いっていうことだけお伝えしておきます。
でもよくよく考えたら、YouTube の売り上げを事務所と分けるって何って話じゃないですか。
YouTubeチャンネルを吉本がするんじゃないんですよ。
芸人が自分でチャンネルを立ち上げて、自分で宣伝をしてその売上の何割かを吉本興業に収めてる。
だけど、この割合ならいいかって言った感じで、芸人みんな納得しちゃってるんです。
これよくよく考えると異常事態ですよ。
持ち家の家賃を払ってるみたいな状態です。
でも、まあそもそも吉本が劇場作ってくれなかったら今がなかったわけし。みたいなところで皆納得しちゃってると。
そこで納得させてるから、すげーなと思っていて。
吉本芸人は6000人いると言われてるんですが、この調子で全員が YouTube をやってみたら、その時発生する吉本興業の不労所得これ大変なことですよ。
僕が他の芸能事務所ならちょっとゾッとするレベルです。
やっぱ数がすげーっていう人数です。
それのプラットフォームになってる所って、やっぱ強いなーっていうのは一つ目のお話です。
で、それに加えて強いなと思うのが、もうこれは完全にクラウドファンディングです。
吉本興業がシルクハットっていう自社のクラウドファンディングを持っていて、これも前からあったんですよ。
シルクハットでも芸人とか芸人ファンはこれまでクラウドファンディングに対してちょっと懐疑的だったんです。
冗談半分でありますが、残り半分は結構本気で、クラウドファンディングて新手の宗教でしょう?はははは!とか言ってたんで。
ところが、今回の新型コロナウイルスの影響でみんな芸人みんなクラウドファンディングを始めた。
これもやっぱり始めざるを得なくなったっていう表現が正しいのかもしんない。
シルクハットは、一般の方もプロジェクトを立ち上げることができるので一般の方も使われているんですが、一旦そこは省いて、吉本芸人のプロジェクトだけにスポットを当てて、5月の今日までの段階の売り上げをちょっと計算してみたんですけど、これざっくり4000万円。
この4000万に関しては数字で判断するのではなくて、内容を見た方がいいなと思っていて。
例えば、ジャルジャルが、これ見ると、新型コロナウイルスの影響により中止になったコントライブを映像作品として発表したいっていうクラウドファンディングジャルジャルがやっていて、これは延べ1442人の形に支援されて6818000円が集まってるんです。
リターンは配信で三日間映像見えるって言うのと、もう一つはDVD&エンドクレジットの名前表記、今この二つです。
この二つのリターンだけで支援されているジャルジャルが素晴らしすぎるんですが、支援が集まっていたのは、主に後者のDVDを買われてる方も結構いる、1400人近くいると。
ちなみに、これまで吉本興業の暗黙のルールと言いますか、なんとなくみんなの感覚値として、DVDは3000枚売らないとペイできないっていうのがあったんですよ。
なので、それぐらいかそれ以上の売り上げが見込めるものしかDVD化されなかった。
単独ライブがDVD化されなかったんですよ。
で、今回ジャルジャルのDVDのクラファンの支援者は1442人じゃないですか。
数合わないですよね?
これまでのルールで言うとDVD出せないはずなんですよ。
おかしいと思いません?
DVDの制作費って主に、撮影費用とパッケージ費用です。
パッケージ費用っていうのはDVDのパッケージをデザインしたりとか、そもそもその枚数を刷ったりするのにかかるお金です。
で、単独ライブの撮影費用っていうのは、劇場のチケットの売り上げから出ているんで、作成に必要な予算としてはカメラと音声と編集ぐらいです。
意外と抑えられるんですよ。
3000枚売って、一枚3000円で売ったとして3000円ですから、900万円。
900万円ってことは撮影にそんなお金がかからない。
ってことはパッケージ代が めちゃくちゃかかるんだと思うじゃないですか。
DVDのをするのにはお金がかかるんだと。
3000枚するとなると600万円とか700万円ぐらいかかっちゃうのかなって思うじゃないですか。
そうじゃないと計算合わないですよね。
DVDを3000枚するのにいくらかかるか知ってますか。
僕これ昔、工場に直接電話して聞いたんですよ。
DVDを3000枚するのにかかる費用です答え27万円で。
じゃあ、何にお金かかってんの。
答えは流通で作ったDVDをお客さんのもとに届けるまでの間にたくさんの期間、たくさんの人が介在していて、そこにお金が落ちてるんです。
でも、考えてみてください。
今日はお笑い芸人の単独ライブのDVDを買いに行こうかなと思って家出た事ってありますか?
ないですよね 。
お笑い芸人の単独ライブのDVDを買う人なんて、超超超コアファンで、その人はジャルジャルのDVDを買おうと決めうちなんです。
amazon で検索する時に「お笑い芸人DVD」で検索するのではなくて「ジャルジャル」で検索する。
ジャルジャル側は流通に多額のお金を払っていて、
単独ライブのDVDは3000枚売れないとできないから、3000枚売れる見込みが取れないと、世に出せないとこれまで諦めてしまっていた。
ここでジャルジャル及び、劇場に足しげく通っているお笑い芸人ファンはようやく気づくと思います。
DVDって流通に乗せなくてよくね?
クラウドファンディングリターンで出せばよくね?
そうなんですよ、単独ライブのDVDのようなコアファン向けの商品って手売りでいいんですよ。
手売りにしてしまえば、芸人の実入りも増えるし、ファンは応援してる人にお金を払うことができる。
DVDに限らず単独ライブのグッズとかも全部そうです。
クラファンのリターンで出せばいいんですよ。
クラファンのリターンで出せば事前に必要な数も分かるから在庫があるみたいなこともない。
今回のジャルジャルのクラウドファンディングは、今後の芸人の活動の試金石になることは明らかで芸人が単独ライブをする時はクラウドファンにを絡めるようになると思います。
そのクラウドファンディングプラットフォームを作ってるのは吉本興業なので、つまり吉本興業に手数料が10%ぐらい入るんで芸能事務所として無双状態です。
吉本興業劇場物会社なんで新型コロナウイルスで受けた打撃が大きいんですが、客席をパンパンに埋めると難しいでしょうし その彼も固定費はかかるですがこれによって吉本芸人のユーチューバーが増えて、吉本芸人の中にクラウドファンディング文化が根付いたこともかなり大きくて、長期的に見ると回収できる勝負だと思っております。
ここからの吉本興業の動きはちょっと注目です。
結構面白くなると思いますっていうのが今日のお話でございました。
それでは素敵な1日をお過ごし下さい。
キングコングの西野亮廣でした。
じゃあまたね。