『空間』を作ること【西野亮廣エンタメ研究所 投稿共有】

西野亮廣エンタメ研究所過去の記事

西野亮廣エンタメ研究所の1年前の投稿を公開しています。毎日、学びになる本気の投稿が見れます。下手なビジネス書より月額1000円のオンラインサロンがおすすめです!

[aside]リンク

月額1000円のオンラインサロン[西野亮廣エンタメ研究所]

[/aside]

 

9月27日(金) ※9月29日以降は『いいね』を押さないでください。
━━━━━━━━━━
おはようございます。
Twitterでセクハラプロポーズ中毒になり、完全に仕事のペースが落ちているキングコング西野です。
誰かセクハラの止め方を教えてください。
さて。
さっき調べたところ、日本で初めてラジオ放送が開始されたのは1925年だそうです。
ラジオって、まもなく100歳を迎えるんです。
スゴイですね。。
そこで今日は『ラジオというオールドメディアが何故 今日も生き残っているのか?』を一緒に考えていきたいと思います。
ラジオが今日も生き残っている要因はいろいろあると思いますが、やっぱり、「『ながら視聴』ができる」というのは大きいです。
通勤しながら、料理しながら、残業しながら、眠りかけながら聴くことができるので、ラジオは「可処分時間(消費者が自分の意志で自由に使える時間)の奪い合い」から少し外れているんですね。
キャベツの千切りをしながら『アメトーーク』を観ることはできませんし、お風呂に入りながら『ポケモンGO』をすることはできませんが、セックスをしながらラジオを聴くことはできます。
もちろん僕は紳士中の紳士なので、セックス中は女性に100%を注ぎますが。
(※すみません。セクハラが止まりません)
可処分時間の奪い合いが過熱し、世界が忙しくなればなるほど、『ながら視聴』ができるラジオの価値は上がり、2019年の今日もラジオは生き残っているわけですね。
…とまあ、ここまでは、その辺の起業家が話しそうな話なので、ここからは芸人・キングコング西野の考察を始めたいと思います。
一昨日、立川志の輔師匠と鰻を食べている時に、とても面白い話を聞かせていただきました。
「立川談志(志の輔師匠の師匠)という人は、何に厳しかった人なんですか?」という僕の質問に対して、志の輔師匠は、こんな話をしてくださいました。
━━━━
【志の輔】
「もちろん、日常の立ち振舞いに対してもイチイチ厳しかったけど、落語に関して言うと、『空間』を作ることには、人一番厳しかったかな」
【西野】
「空間……ですか?」
【志の輔】
「うん。たとえば、落語の中で『ごめんくださ~い』と熊さんが家に来たときに、家主が「開いてるよ」と答えた時と、「開いてるよ~」と答えた時と、「あ~いて~るよ~」と答えた時とでは、落語を聴いている人が頭の中でイメージする家の広さが違ってくるじゃない?」
【西野】
「たしかに、今、6畳間、10畳間、30畳間ぐらいの違いがありました。」
【志の輔】
「それが、たとえば、貧乏家主のストーリーだったら、30畳の家に住んでたら具合が悪いよね?」
【西野】
「なるほど。話の辻褄が合わなくなりますね」
【志の輔】
「声の張り方ひとつで、瞬時に家を建築するんだけど、ここで建てた家が、お客さんがイメージしている家とズレていたら、その先で、どれだけ面白いやりとりが繰り広げられても、話が入ってこない。だからウチの師匠には『空間』を作る稽古…つまり、『開いてるよ~』の稽古を何回もやらされたよ(笑)」
━━━━
声の張り方ひとつで、お客さんがイメージする『空間』を瞬時に作ってしまう、という話です。
この話を聞いた時に、『ラジオ』が頭によぎりました。
ラジオの“どの部分”に、100年近くも生き残る力があったのか?
このことを考える時に、ラジオが聴かれる『空間』を想像してみると、答えの輪郭が見えてきます。
ラジオが聴かれる空間は、勉強部屋なのか、寝室なのか、いずれにせよ『部屋』であるケースが圧倒的に多いです。
6畳なのか、10畳なのか、とにかく『部屋』です。
ラジオが見事なのは、このリスナーがいる『部屋』と、パーソナリティーがいる『ラジオブース』が、ほぼ“同サイズ”だということです。
おかげでリスナーは、隣の席で、または枕元で話されている想像をすることができます。
ときどき、お客さんを入れた公開イベントの様子がラジオから流れてくることがありますが、パーソナリティーがいる『空間』が1000人規模の会場だったりするので、声の張り方がまったく違っていて、そこで、どれだけ面白いやりとりをされても、パーソナリティーが自分の部屋の中にいないから、他人事すぎて、入って来ないんです。
僕は喋ることを生業としている人間なので、すごくすごく分かるのですが、マイクの性能がどれだけよくて、どんな小さな声を拾ってくれるマイクが用意されても、6畳間では6畳間の声の出し方を、10畳間では10畳間の声の出し方を、30畳間では30畳間の声の出し方をしてしまいます。
なので、ラジオの現場では、ときどき無駄に広いスタジオしか確保できなかった時などは、パーソナリティーのまわりをパーティション(可動式の壁)で区切って、即席で6畳間を作ることがあります。
リスナーがいる『空間』に合わせているわけですね。
そんなことを思って、昨夜、ベッドで横になりながら録音してみたら、自然とベッドの声の出し方になってしまって、声がガサガサしすぎて、さすがにこれはww
ただ、話をまとめると…
お客さんの『○○しながら』の時間を取りにいくのなら、お客さんが○○している空間を想像し、その空間のサイズに、発信する空間のサイズを合わせて、まるで隣にいるような想像がしやすいように持っていくことが重要だなぁと思いました。
現場からは以上でーす。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次