ヒットを「デザインする」ということ【西野亮廣エンタメ研究所 投稿共有】

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6月5日(水) 6月7日以降は『いいね』を押さないでください。
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これから飛行機に乗るので、少しフライング気味の更新になってしまっているキングコング西野です。

さて。

そんなこんなでこれから帰国します。
今回のニューヨーク旅は、ほぼホテルにいたのですが、得るものはとても大きかったです。

初日の夜に次々回作の絵本『ブルーノと魔法のバス』の脚本(初稿)を書き上げ、勢いそのまま小説『えんとつ町のプペル』の執筆に入りました。

方々でチラホラとお話ししているので、知っている方もいらっしゃるかもしれませんが、絵本『えんとつ町のプペル』というのは、映画『えんとつ町のプペル』にお客さんを呼び込む為の“チラシ”で、ストーリーの全貌はおろか、主人公すらまだ出てきていません(※主人公は『ブルーノ』という仕立て屋さんの男です)。

小説『えんとつ町のプペル』と映画『えんとつ町のプペル』で、ついに物語の全貌が明らかになるのですが(ここまでくるのに7~8年かかった!)、まずは映画公開前に小説『えんとつ町のプペル』を出して、なんとしてでもヒットさせます。

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「デザインする」ということ
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ここからゴリゴリの広告戦略になるのですが、サロンメンバーの皆様とは一緒に死ぬ覚悟でおりますので、包み隠さずお話しします。

映画『えんとつ町のプペル』で狙うターゲット層は、絶対に「ファミリー」です。
子供には必ず親がついてくるので、まずは子供を狙って、その上で親(大人)も満足できる内容にしました。

(小説&映画『えんとつ町のプペル』のプロローグ)
https://gamp.ameblo.jp/nishino-akihiro/entry-12392720861.html?fbclid=IwAR2PwS1WN02K9QXTFYp1OTjD-gvvcNlCnh1kJ5loE2vxjte51_Si_O3fHQ4

子供からすると知ったこっちゃありませんが、物語の下地にしているのは「明治維新」です。
この辺は、歴史に明るい大人が「なるほどー。あれを、そういう風に表現したかー」とニヤニヤしてもらえたらラッキーです。

『お金』『鎖国』『チーム』『正義とは何か?』といった、いわゆる僕のビジネス書に書かれるようなことを柱に、ゴッリゴリのファンタジーで仕上げたのが小説&映画『えんとつ町のプペル』です。
たぶん…ていうか絶対、子供の頃に観た『えんとつ町のプペル』と、大人になってから観た『えんとつ町のプペル』は違うものになっています。

まぁ、とにかく「全世代を狙う」という話っす。

そこをゴールとした時に、小説『えんとつ町のプペル』のデザインが諸々決まってきます。

①子供が読めないといけない。
②大人が面白がれるものでないといけない。
③年輩の方が読めるように文字を大きくしなくてはいけない。

出版業界では、大きな文字の本がバカにされるきらいがあるのですが、映画『えんとつ町のプペル』のターゲットは「全世代」なので、「文字が大きいからバカみたい」という風潮は無視です。

それともう一つ。

小説『えんとつ町のプペル』は、映画『えんとつ町のプペル』にお客さんを流す為のチラシであるので、売れても仕方がなくて、読み終えてもらわないと意味がありません。
途中まで読んで辞めてしまった小説の映画なんて、誰も観に行かないので。

つまり、100万部売れても、それが「積読本」だったら、逆宣伝になり、映画の客足が遠退いてしまうわけですね。

というわけで、四つ目は「読み終わってもらわないといけない」です。
これは小説『えんとつ町のプペル』のとても大事なポイントなので、となってくると「1時間半ほどで読み終わる小説」にする必要があります。

加えて、映画公開後は、個展会場で「おみやげ」として活躍してもらわなきゃいけないので、「おみやげ」として機能するように『ハードカバー』ですね。
「おみやげ」には重厚感が必要なのです(※おみやげで文庫を買おうとは“あまり”ならないでしょ?)。

1時間半でサクっと読めちゃう内容なのに『ハードカバー』です。

こんな感じで、最終ゴールを設定して、そこに向かう為の通過ポイントを整理すると、今回のデザインの『ルール』が決まっていきます。

まとめると…

①子供が楽しめる
②大人も楽しめる
③文字が大きい
④1時間半で読み終える
⑤ハードカバー

こんなところですね。
なんとなく、『児童小説』のような仕上がりになると思います。

「デザイン」というのは、「素晴らしいビジュアルを選択する」という作業ではなくて、「動線(役割)の設計をキチンとした上で、素晴らしいビジュアルを選択する」という作業です。
ヒットする形には全て「意味」があるので、形だけ真似をしても無駄です。

今日は「デザイン」についての考察でした。

気が向いたら、今度新しくできる会議室でサロンメンバー向けに「小説『えんとつ町のプペル』の設計会議」を開催しますね。

現場からは以上でーす(*^^*)

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