キャッシュポイントから考えるエンタメの未来

西野亮廣エンタメ研究所過去の記事

11月15日(日) ※11月17日以降は『いいね』を押さないでください。

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おはようございます。

サロンメンバーさん(およびサロンメンバーの御家族の皆さん)とのジョギング大会で、子供と一緒に走って、接戦を演じて、最後は必ず圧倒的な速力の違いを見せつけて勝って、人生の厳しさと大人の恐ろしさを子供に叩き込んでいるキングコング西野です。

#大人をナメるな


さて。

今日は「キャッシュポイントから考えるエンタメの未来」についてお話ししたいと思います。


皆様の日常生活に転用できるかどうか分かりませんが、「こんな目線で、これからのエンタメ業界を見ると面白いと思いますよー」というお話を。。


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▼ テレビの今

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最近、映画『えんとつ町のプペル』の宣伝もあって、いろんな番組に出させていただいております。

東野さん、岡村さん、華丸大吉さん、千鳥さん、オードリーさん、ミキ……そして来週はダウンタウンさんとの収録。

才能ある方々との共演(共同作業)は本当に楽しくて、当たり前のことをゆっくり言いますが、やっぱり「楽しいテレビは楽しい」です。


枠組みを限りなくフリーにしていただけると、楽屋や喫茶店でお喋りするのと同じで、「どこで落とそうかしら?」「ここは、あの人に落としてもらう為のフリ役になろう」といった感じで、ここには「新しい」も「古い」もありません。ただただ楽しいです。

#やっぱりテレビが好き


一方で……


「業界」や「業界の道徳観」を見たときに、『テレビ』というものが、時代から大きく遅れをとっている感は否めません。

ここに関しては数年前よりも更に悪化しています。


ここから先の話は、このサロンにテレビ関係者が1000人近くいることを承知で書きます。


実は最近、もともと出演が決まっていたテレビ番組のお仕事を二本ほどお断りしました。


お断りした理由はそれぞれ別です。


一つ目の番組は「連絡のリターンが遅かったから」です。

テレビの世界には『仮スケ』という(仮でタレントさんのスケジュールを押さえる)文化があり、基本的には「番組側」が出演タレントのスケジュールの最終決定権を握っています。


数日前にスケジュールがキャンセルになることはザラにあって、番組側も出演者側も「そこは、まぁ、仕方ないよね」で、これまで手打ちにしてきたのですが、そのルールは「自分でメディアを持っているタレント」には当てはまりません。


「自分でメディアを持っているタレント」は、突如、スケジュールが空いても、やることは山ほどありますが、しかし、やれることは限られてきます。


前もってスケジュールが空くことが分かっていれば、海外遠征に行けますし、ゲストをブッキングして、自分のメディアに出ていただくことも可能です。


『リターンが遅い』は、「テレビがタレントを使う(雇う)」という関係が維持できた時代だから許された道徳で、今は通用しません。

そして、これから余計に通用しなくなります。


それが通用する相手は『リターンが遅くてもテレビに出てくれるタレント』で、そうなってくると「自分メディアを持たない認知タレント」か、「テレビルールで生きてきた大御所タレント」になってきます。

が、テレビの広告費が落ちれば落ちるほど、大御所タレントをブッキングできるだけの予算は今後用意できなくなるので、後者はちょっと厳しいです。


僕個人としても「リターンが遅い」は完全アウトで、それだったら、オンラインサロン内か、YouTubeで本田圭佑さんと対談して、本田さんの次のチャレンジを応援することに時間を使います。


次に。


【出演が決まっていたのにお断りした番組】のもう一つは、5日後に収録予定だった「とある大先輩の番組」です。


「キングコング西野の街での評判」をリサーチする為に、100名にアンケートをとる企画があったのですが、その中で、番組スタッフさんが僕のサロンメンバーさんお店にコンタクトをとって、お店まで取材に行かれたそうです。


しかし、その仕事の進め方がかなりマズくて、なんと「あなたのお店(活動)を取材したいです」と嘘をついて、取材の承諾を得たそうです。


皆、生き残りをかけて懸命に立っているコロナ禍です。

そんな中、取材をしてもらえるなんて、これほど嬉しいことはなく、そのサロンメンバーさんは喜んで時間を空けて、取材日を迎えたところ……「実は店の取材じゃなくて、キングコング西野さんの印象を聞くドッキリでしたー」という不思議な展開。

#お笑いを一度も見たことないの?


予定されていた取材はおこなわれず、ただただ西野についてのインタビューが続いたそうです。


これはシンプルな営業妨害なわけですが、コロナで世間のストレスがたまっている中で、こんなことが表沙汰になれば、番組は大炎上どころでは済みません。

すべてのサービス提供者を敵にまわすでしょう。

#サロンメンバーの中に週刊誌の記者さんが混じっていることを承知で書く西野


なにより、そのサロンメンバーさんは、「『ドッキリ』という名目で騙されて、結局、お店の営業も宣伝もできなかったけど、西野さんの宣伝になるのなら…」とグッと我慢されていて(言うに言えずにいて)、今回、そのことが発覚し、秒速で番組出演を取り止めました。


僕には、応援してくださる方を後回しにしてまで出たい番組なんて一本もありません。

番組プロデューサーさんにはキチンと謝罪に伺うようにお伝えしました。


さて。


ここで気になったのは、「どうして、『視聴者を体よく騙して、ネタを拾ってやろう』が、まかり通ったのか?」です。


2017年に『とんねるずのみなさんのおかげでした』の中で、 「保毛尾田保毛男」をネタでやって、大炎上した時も同じ感覚に陥りました。


あの時、「炎上してしまった!」みたいな片付けられ方をしましたが、「LGBTや性的マイノリティへの理解が進んだ現代にあんなことをすれば炎上することぐらい分かるだろ」と思った方も少なくないハズですが、それが分からないから炎上してしまったわけです。


結果、『とんねるず=感覚が古い人達』という印象が残った。


紐解くに、今回の企画にしても、とんねるずさんの番組にしても、「現場に『……いや、さすがに今の時代、どう考えたって、これはダメでしょ』というスタッフがいなかった」が原因だと思うのですが、もっと言うと、「【今の感覚】を持った人がテレビ局の新入社員として入ってきていない(※テレビ東京以外)」という結構、エグめの事実があると思われます。


これは、今夜放送の『毎週キングコング』でも少し話させてもらっているのですが……テレビマンがキンコン西野を弄る企画をする時、「よく分からないまま弄る側に立とうとする」もんだから、いちいちピントがズレています。


明らかに処理能力が追いついていないのですが、「西野を弄っている」ということで、自分達のプライドも守っているように見えます。

時々、「ひがみ」に見える時すらあります。


今のテレビは選挙と同じで、「高齢者(学びを放棄した人or変化を嫌う人)を、いかに気持ち良くさせるか?」というゲームになっており、くわえて、広告費で回している以上、テレビマンの給料の上限が決まっています。


「稼げる仕事」「モテる仕事」に才能が集まるのが世の理で、テレビには“新しい才能が入ってくる理由があまり無い”というのが現実です。

#テレビや特定の誰かを否定しているわけではなく

#日本の人口ピラミッドが起因となっているテレビの構造上の問題を話しています


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▼ これから起きる流れと、その注意点

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今、優秀な才能がYouTubeに流れていることは説明するまでもありません。


稼げる仕事に才能が集まり、才能が集まった仕事がより稼げるようになる…という流れが今、YouTubeで起きています。


カジサックも随分前から言っていますが、次に「一定の成果をあげたYouTuber」が仕掛けるのは、「まるでテレビ番組のようなYouTube番組」でしょう。


テレビ番組よりも豪華なセットを建て込むことができますし、(ガッチガチの進行台本などはなく)極めてフリートークに近い形になるので、豪華なゲストをキャスティングすることができます。

テレビの大御所は、YouTubeチャンネルの客寄せパンダ的にキャスティングされるでしょう。


これまでYouTubeがテレビに勝てていたのは、「視聴者との距離」でしたが、まもなく「クオリティー面(一本あたりの番組の制作費)」でも、YouTubeがテレビを凌駕し、一部のYouTubeチャンネルがテレビの上位互換になる未来は確実にやってきます。


ちなみに、「YouTubeの上位互換」は各地で起きていて、それこそプペルのMVには5000万円の制作費が投下されましたが、今の音楽シーンで、5000万円以上の予算をかけてMVを作っているのはLDHさんぐらい。

こちらも、クオリティー面でYouTubeが既存のメディアを凌駕しています。


ただ、この「テレビ番組よりも豪華なYouTube番組」と「既存のMVよりもクオリティーが高いYouTube作品」は、『既存メディアに対して【予算マウント】を取っている』という点では共通していますが、しかしながら、似て非なるものです。


「テレビ番組よりも豪華なYouTube番組」は、その思想の根底に、「自分が(すでに椅子が埋まっていた)テレビで果たせなかったことの実現」があり、キャッシュポイントは「YouTube」……つまり広告収入です。

活動場所が変わっただけで、ビジネスモデル自体はテレビと変わっていないんですね。

#個人的にはテレビ憧れだと見ています


一方、「既存のMVよりもクオリティーが高いYouTube作品」は、もはやYouTubeからの収益など1円も要らなくて、キャッシュポイントは「作品の制作過程」になります。

#プロセスエコノミー


整理すると……


【テレビ番組よりも豪華なYouTube番組】

→メインコンテンツの販売


【既存のMVよりもクオリティーが高いYouTube作品】

→メイキングの販売


となります。


これは「どっちが正解」というわけではなくて、ケースバイケースだと思います。


ただ、この時、「メイキングを売りやすいメインコンテンツ(=メイキングを売りにくいメインコンテンツ)がある」ということを僕達は理解しておかなくてはいけません。


「ジブリ映画ができるまで」は売れますが、「アメトークができるまで」は売れません。

くれぐれも「面白い/面白くない」の話ではなく、「売りやすい/売りやすくない」の話です。


この場合だと、『映画』のプロセスは売りやすいですが、『トーク番組』のプロセスは(素材が少ないので)売りにくいです。


今、「プロセスエコノミー」の足音が聞こえていますが、つとめて冷徹に判断された方がいいと思います。


「売りやすいプロセス」「売りにくいプロセス」は明らかに存在して、それは、ただ「作品であればいい!」という単純な話ではありません。


「伝統工芸品の職人さんの手先の動き」は芸術そのもので、お金を払ってでも見たいですが、作っているものが同じだと、何度も見ようとは思いません。

毎月課金しようとは思いません。


アルがテストリリースした「00:00studio」は、『漫画家さんの芸術的な手の動き』に加えて、『毎回描いているものが違う』があるので、継続課金が生まれます。


一部のYouTubeチャンネルがテレビの上位互換になることは明らかですが、そこで発信するコンテンツと、キャッシュポイントの辻褄を合わせておかないと、一時的なもので終わるでしょう。


「プロセスエコノミー」は慎重に設計すれば可能性しかないと思うのですが、だからこそ、そこに手をつけられる際は、「そもそも、僕のメインコンテンツと、プロセス販売の相性はどうなのかしら……?」という自問自答を挟んでおいた方がいいと思います。


そんなことを考えながら、今日もサロンメンバーさんのお子さんとジョギングをしました。

#そんなことを考えながら子供と走るな

#本当に楽しかったので明日の朝もやりたい


現場からは以上でーす。

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